・更正の請求に係る税制改正
平成23年度税制改正のうち、継続審議とされていたものが、11月30日に成立し、12月2日に施行されました。
そのなかに、更正の請求に関する改正が含まれています。
そもそも更正の請求とは、税額が過大であった場合などに、自ら誤っている点を直して正しくすることを請求できる制度のことです。
従来、更正の請求が出来る期限は、法定申告期限から1年間とされていました。
一方で、税額が過少であった場合など、税務当局が税額を増額する更正の期限は、税法の種類によって3年から5年は可能とされています。
税務調査で指摘を受け、過去の誤りに応じた税金の支払いを行うのもこの規定によるのもです。
払いすぎた税金を返してもらうための請求期間は1年間で、少なかった税金を支払わなければならない期間が3年から5年というのは、納税者にとってあまりにも不公平です。
今までも1年を過ぎた場合、嘆願書というかたちで税務当局にお願いすることはできましたが、あくまで税務当局の裁量に委ねられていたため、応じてもらえない場合もよくありました。
今回の税制改正によって、更正の請求期限が原則5年間に延長されました。
これで税額が過大であった場合も、法定申告期限から5年間は納税者が自ら請求をすることが可能となり、税務当局もこれに応じることとなりました。
ただし、この取り扱いは、改正法が施行された平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来するものから適用になるため、それ以前のものは適用になりません。
これでは、適用までに時間を要するため、国税庁は12月5日に更正の請求に係る税制改正の留意事項を公表しました。
それによると、平成23年12月2日より前に法定申告期限が到来するものの更正の請求期限は、従前とおり1年としながらも、増額更正ができる期間内であれば、「更正の申出書」を提出すれば柔軟に対応し更正に応じる旨の記載がされています。
ちなみに増額更正ができる期間内とは、所得税であれば3年間、法人であれば5年間とされますので、この期間内であれば今からでも過去の更正の申出が可能です。