・個人事業者の法人成り
個人で事業をしている場合、会社を作った方が有利なのか?という問題が生じてきます。
この法人成りについては、単に税金面だけではなく、あらゆる角度からメリット・デメリットの検討が必要になってきます。
【メリット】
・信用力
信用力という面では 個人事業に比べて法人の場合が圧倒的に有利といえるでしょう。
法人は、設立にあたって法的手続きを経て登記の手続きを必ずしなければなりません。金融機関を始め、対外的にも認められていることを意味するわけです。
大手企業などでは、法人でないと取引をさせてくれない場合も多々見受けられます。
・資金調達
信用力と直結しますが、多くの資金が必要な場合、金融機関から融資を受ける際も、法人の場合その調達が可能となります。
また、上場会社に限らず、非上場の会社でも資本というかたちで資金調達をすることも可能です。
・名誉
例え代表者1人しかいなくても、××会社(代表)取締役社長○○と名乗ることが出来ます。名刺への記載もできますし、あらゆる書類の職業欄には会社役員と記載できます。
これは何よりもうれしいことではないでしょうか。
・税率
個人の場合、所得税は5%〜40%の累進課税、住民税は一律10%です。事業によっては、3%〜5%の事業税が別途かかります。合計で15%から、高所得の場合最高50%を超す税金が課せられます。
一方法人の場合、法人税が30%(中小企業者の800万円以下の所得は現在18%)、住民税が3%〜6%、事業税が5%〜10%ですので、合計で26%〜46%の税金となります。
一概に法人が有利とはいえませんが、ある程度の所得がある場合には、法人の方が有利でしょう。
また、税金の計算過程において、役員給与や保険料、役員退職金など個人事業に比較して損金となる範囲が広い点からも有利と言えるでしょう。
【デメリット】
・事務負担に伴うコストアップ
個人事業に比べて、法人の場合には確実に事務作業が増えます。
青色申告の場合、個人よりも帳簿書類の量や正確さなど、求められることも増えますので、税理士に対する報酬の支払いなどコスト面でも負担が増えます。
・社会保険の加入
法人の場合、原則として社会保険への加入が義務付けられます。よく社会保険に加入していない会社がありますが、これは法律違反です。
社会保険へ加入すると、社会保険料の会社負担分のコストが増えます。
・会社設立費用
会社を設立する際、まずは資本金が必要になります。会社法ができて1円からでも設立は可能となりましたが、信用面からあまり少ない金額は好ましくありませんので、それなりの資金が必要です。
また、株式会社の場合、定款認証費用や登記費用など最低でも20万円超はかかります。
他にも、それぞれメリット・デメリットがあります。
法人組織としてのメリットが有効に活用できるようになった際に、法人成りすることがベストといえるでしょう。