・前受金ビジネス
黒字倒産という言葉があります。
まさしく、会社の損益としては利益が出ているのにもかかわらず会社が倒産してしまうことです。
なぜこのようなことが起きてしまうのかというと、それは資金繰りに問題があったからです。
会社を経営していくうえで、仕入先や従業員、金融機関など会社がお金を支払う相手は数多くあります。この支払先に毎月決められた期限に支払いをしなければ、会社は経営を続けていくことが出来なくなるわけです。
このような、黒字倒産をしにくい体質を作ることが会社にとっては必要です。
売上代金を確実に回収し、支払のサイトを少し遅らせることが出来るだけでも、資金繰りの面からは非常に大きなことです。
そして、もう一つ前受金というシステムがあります。文字通り、売上以前に先にお金を受け取ってしまうことです。これが出来れば会社にとっては更に倒産しにくい体質強化に繋がります。
この前受金というシステム。普段我々が生活していくうえで、実は頻繁に使われているシステムなのです。
例をあげてみていきましょう。
・Suica,PASMOなどのICカード
これらのカードは、最初に申込金という形で500円前後を支払い、その後はチャージという形でお金を入金してカードが使えるというシステムです。
チャージをした時点では、ICカードを発行している鉄道会社などにとっては前受金を受け取っているわけです。
・雑誌の定期購読
毎週若しくは毎月発行される雑誌などでは、年間の定期購読というものがあります。
通常、定期購読をすれば料金が割引になるサービスがついています。
しかし、本の出版社にとっては、先に1年分の前受金を受け取っているのです。
・学校や塾などの授業料
授業料は、学校や塾などに入学する前に1年分(若しくは半年に1回など)を先に支払うのが通例です。これも前受金そのものです。
・住宅やオフィスの家賃
言われてみるとそうなのですが、家賃は通常来月分を先払いしています。
オーナーにとっては、家賃の回収不能を防ぐ(敷金も同様)ためでもありますが、これも前受金です。
・飲み屋のボトルキープ
ボトルそのものを販売し、残った場合には、次回の来店時までキープをしておくというクラブなどの販売手法です。これもボトルそのもの代金を先に受取っているわけですから、前受金の一種です。
ほかにもいろいろな前受金ビジネスが実は巷にはあふれているのです。
業種によっては前受金ビジネスがそぐわないものもたくさんあります。
しかし、例えば、手付として先に一部代金を受け取るだけでも立派な前受金ビジネスと言えます。
今のビジネスに前受金という手法をぜひ取り入れてみてください。