・売上割戻しと仕入割戻しの計上時期
商取引においては、一定期間に多額又は多量の取引をした得意先に対し、売上高等を基準として割戻しを行うことが慣習としてあります。
これらを割戻しといい、売上サイドでは売上割戻し、仕入サイドでは仕入割戻しといいます。
この割戻しについては、法人税法上、損金計上時期及び益金計上時期がそれぞれ法人税基本通達に定められています。(一定期間割戻しを行わない場合を除きます。)
【売上割戻し】
販売した棚卸資産に係る売上割戻しの金額の計上の時期は、次の区分に応じ、次に掲げる事業年度とする。
① その算定基準が販売価額又は販売数量によっており、かつ、その算定基準が契約その他の方法により相手方に明示されている売上割戻し・・・販売した日の属する事業年度。ただし、法人が継続して売上割戻しの金額の通知又は支払をした日の属する事業年度に計上することとしている場合には、売上割戻しの金額の通知又は支払をした日の属する事業年度に計上することができる。
② ①に該当しない売上割戻し・・・その売上割戻しの金額の通知又は支払をした日の属する事業年度。ただし、各事業年度終了の日までに、その販売した棚卸資産について売上割戻しを支払うこと及びその売上割戻しの算定基準が内部的に決定されている場合において、法人がその基準により計算した金額をその事業年度の未払金として計上するとともに、確定申告書の提出期限までに相手方に通知したときは、継続適用を条件としてこれを認める。
【仕入割戻し】
購入した棚卸資産に係る仕入割戻しの金額の計上時期は、次の区分に応じ、次に掲げる事業年度とする。
① その算定基準が購入価額又は購入数量によっており、かつ、その算定基準が契約その他の方法により相手方に明示されている仕入割戻し・・・購入した日の属する事業年度
② ①に該当しない仕入割戻し・・・その仕入割戻しの金額の通知を受けた日の属する事業年度
上記を比較して、売上割戻しにはそれぞれ、ただし書きがありますが、仕入割戻しにはありません。仕入割戻しについては例外規定がないのです。
従って、算定基準が契約その他の方法により相手方に明示されている場合には、購入した日の属する事業年度に益金に計上をしなければなりません。
つまり、決算時には、未収計上が必要ということになります。
この取り扱いを税務調査時に指摘されることが稀にあります。契約内容を今一度確認し、割戻しについて契約に明記されている場合には注意が必要です。