・配偶者の相続税額の軽減
相続税には、配偶者の相続税額の軽減という規定があります。
これは、配偶者については法定相続分を超えて財産を取得しない限り、相続税は課税しないというものです。
具体的には、配偶者が取得する財産が法定相続分(子供がいる場合には1/2など、民法で規定されています)以内か、法定相続分を超えても1億6000万円以内であれば、相続税はかかりません。
この規定は、配偶者は、被相続人(亡くなった人)の財産の形成に大きく貢献しているという趣旨から設けられたものです。
配偶者の相続税額の軽減は、婚姻期間に関係はありませんが、原則、相続税の申告期限(相続開始の翌日から10カ月以内)までに遺産の分割が行われ、配偶者の財産が具体的に確定していることが必要です。(申告期限までに分割されていない場合でも、3年以内に分割すれば適用可能で、分割後4カ月以内に更正の請求をすれば当初の税金は還付されます。)
また、この規定の適用を受ける旨を申告書に記載し、一定の書類を添付することも要件とされています。
配偶者の相続税額の軽減の適用を受ければ、配偶者の取得した財産が法定相続分以下であれば、たとえ何億円、何十億円の遺産を取得しても、配偶者には相続税はかからないわけですから、税額軽減の効果が非常に大きいものといえます。
適用要件を充分にチェックし、確実に適用が受けられるようにしておきましょう。
また、配偶者自身の二次相続も考慮し、どの財産を取得するかも慎重に考える必要があるでしょう。