・消費税の仕組み
消費税は様々な税金の中でも身近な税金のひとつであり、日常生活の中で最も多くの回数の支払いをしている税金ともいえます。
消費税の特徴としては、すべての日本国民に共通の税金がかかるということです。
例えば100円の水を買うのに、1歳の赤ちゃんも100歳のお年寄りも5円の消費税を支払うことに変わりはありません。
他の税金は少し違います。
例えば所得税。給料をもらったり、事業を営んだりして収入がある場合に所得税はかかりますが、収入の金額に応じて所得税は多くなっていきます。
法人税も同じです。会社が多くの利益を出せば、その利益に応じて法人税も当然多くなっていきます。
相続税や贈与税は、一定以上の財産を譲り受けた人だけかかります。
固定資産税や自動車税などは不動産や自動車などの資産を持っている人だけかかります。
このように、消費税は収入の多い少ないや財産の多い少ないにかかわらず、一律で5%の税金がかかるという他の税金にはない特徴をもっているのです。
言い換えれば収入や財産の多い人に比べて、収入や財産の少ない人にとっては、負担率がとても高い税金なのです。
消費税を最終的に負担するのは、最終消費者である我々一般庶民です。
しかし、われわれは消費税を国には支払っていません。物を買った時やサービスを受けた時にそのお店や会社に支払っています。
では、お店や会社はどのように消費税を支払っているのでしょうか。
お店や会社は物を売ったりサービスを提供した売上代金としてお金を受け取りますが、
その際に5%の消費税もあわせて受け取ります。
実はこの5%の消費税は、最終消費者である我々一般庶民から仮に受取っているのです。
本来は我々一般庶民が国支払う税金を代わりに支払ってくれるのがお店や会社なのです。つまり受け取っている消費税は単に預っているに過ぎないのです。
お店や会社は預った消費税を国に支払うのですが、そのままの金額を支払うのではありません。
お店や会社は物を売るためには物を仕入れたり自ら作ったりしています。その際には消費税を志はっているはずです。ここではお店や会社も消費者の一部なのです。
例えば、100円で物を売って5円の消費税を預ったとします。その前提としてその物を80円で仕入れた場合には、4円の消費税を支払っています。
預った5円の消費税をそのまま支払ってしまったら、5円+4円=9円の消費税を支払うことになってしまいます。これではおかしな話です。
ですから、預った5円の消費税から既に支払った4円の消費税を差し引いた1円を支払うわけです。
また、4円の消費税を預った会社はその会社も他に支払った消費税との差額を支払うことになります。
このように消費税は、最終的な負担者は一般消費者であり、その過程においてお店や会社などの事業者が納付者として国に支払う仕組みになっているのです。
お店や会社は預った消費税と支払った消費税の差額を国に納めます。基本的には年に1回決算のさいに消費税の計算も行います。
消費税はあくまで預っている税金ですので、利益が出なくて法人税などの支払いがない場合にでも消費税の支払いは通常あります。ですから、消費税の滞納などには税務当局も費非常に厳しい姿勢で取り組んできます。あくまで預っているお金なのですから。
ただ、事業を行っている側からした場合、消費税分のお金を別にプールしておくようなことは通常しません。日々の資金繰りの中に当然のように組み込まれていってしまいます。
ここが消費税の徴収方法の問題点だと思われます。
売上が1000万円未満の場合など消費税を納めなくてもよいという免税事業者という制度があります。零細企業への事務負担の軽減という名目ですが、ちゃんと消費税が国へ支払われていないという問題の一つです。
また、売上が5000万円未満の場合には消費税の計算を簡便的に行う簡易課税という制度もあります。これも本来の支払うべき消費税よりも少なくて済みますので、正しい消費税が国へ支払われない一つの要因です。
免税事業者の見直しや消費税の増税の話題が多いですが、そもそもの消費税の徴収を確実に正確に行うことが出来るような仕組みをもう一度作ることも大切なことだと思います。