・延滞税と加算税
税金には法定納期限というものがあります。各税法で本来納付をすべきであるとされている期限で、この日までに税金を支払ってくださいという定めです。
例えば、法人税は事業年度の終了の日から2カ月を経過する日、個人の所得税は翌年の3月15日(口座振替の場合には4月)、源泉所得税は翌月10日(納期の特例あり)などとそれぞれ決められています。
この法定納期限までに税金を納付しない場合には、国税通則法により延滞税が課せられます。いわゆる利息です。
基本的には年利14.6%で計算されます。ただし、当初の2カ月間だけは年利7.3%で済みます。さらに、特例によりこの7.3%に代えて、(公定歩合+4%)という率を用いることができます。現在は、年利4.3%です。
計算は法定納期限の翌日から納付の日までの日割で計算されます。最初の2カ月は年利4.3%、それ以降は年利14.6%というわけです。非常に高い利率であることがわかります。
では、修正申告などにより、追徴税額が発生した場合にはどうなるのでしょうか。
例えば、当初は期限内申告で納付も期限内に済ませていたが、3年後に税務調査によって追徴税額が発生したような場合。規定どおりですと最初の2カ月だけ年利4.3%、それ以降の2年10カ月は年利14.6%ととても高額な延滞税が発生してしまいます。これでは、納税者の負担もたまったものではありません。
そこで、延滞税の特例というものが規定されており、延滞税は当初の1年分のみ支払えばよいことになっています。しかも利率は1年間を通して年利4.3%になります。
このように延滞税の計算の控除期間を設けて、納税者の負担を少しは軽くしているのです。
ただしこの特例。不正行為による脱税の場合には、適用がありません。
税金を法定納期限までに納めない場合に付随して、延滞税の他にもう一つペナルティーを科せられる場合があります。それは加算税です。
例えば、法人税や所得税は、申告課税方式といって自ら所得を申告し、税金を支払うという制度になっています。つまり、税金を支払うという前提として、正しい所得を申告することが重要なのです。税務調査で所得が少なく申告されていることがわかれば、当然税金も少なく支払っていたということになります。さらにそれが不正行為によって少なくなっていたような場合には、悪質です。
延滞税だけでは、単なる納付の遅れた日数分だけの利息を支払えば済んでしまいます。
従って、延滞税の他にこのような事実に対して、罰則的に課せられるのが加算税なのです。
加算税には、次の4つがあります。
ただし、税務調査が行われる前に、自主的に修正申告をした場合などは、加算税が課されない場合もあります。
①過少申告加算税・・・単なるミスと言う結果の罰則。10%。
②無申告加算税・・・・法定申告期限までに申告自体を失念した場合の罰則。15%。
③不納付加算税・・・・源泉所得税を納付しなかったことの罰則。10%。
④重加算税・・・・・・不正行為による税金逃れに対しての罰則。35%又は40%。
延滞税と加算税の制度は地方の税金にもあり、延滞金と加算金という同じような名前で課せられます。
所得隠しによる脱税などの場合、本来の税金+複数年の延滞税+重加算税という税金の支払いが待っています。場合によっては、所得隠しをした金額と同額程度となってしまうこともあるのです。
このようなことをしないことは当然ですが、日頃から法定納期限を必ず守り、無駄な支払いをしないようにしましょう。