・源泉徴収制度
所得税法において、給料や報酬などの支払いをする者は、支払いのときに定められた方法によって所得税を徴収し、この徴収した所得税を納付しなければならないとされています。これを源泉徴収制度といいます。
所得税は、個人に対して課せられる国税で、本来はすべての個人が1月1日から12月31日までの1年間に得た収入と経費を集計した確定申告書を作成・提出し、その差額である利益(厳密には所得といいます)に対しての税金を支払うというのが正しいやり方です。
しかし、仮にサラリーマンを含めたすべての人が確定申告をするとなるととても大変なことです。
まず、確定申告をしなければならない人が増えるのはもちろんですが、これをチェックする税務署の職員の事務処理や内容のチェックに膨大な時間とコストを要します。
また、書類の作成代理や相談を受ける税理士の労力も相当なものになります。
さらに、確定申告をしない人もたいへんな数にのぼるでしょう。
そして、実は何より一番重要なことは、税務署側つまり国にとっては、1年間が終了するまで、つまり確定申告によって所得税の金額が確定するまでは、税金を徴収することができないということです。
そこで考えられたのが、所得税の源泉徴収制度なのです。
源泉徴収制度では、例えば給料の場合、毎月の給料の金額から1年間の給料の合計を推定し、所得税の金額の12分の1相当額を給料の支払い時に本人から徴収してしまおうという発想です。
さらに、徴収した側には、その徴収した所得税を原則翌月の10日までに支払わなければ、追徴金を課すという罰則まで設けています。
この結果、税務署側つまり国は毎月税金を徴収することが出来るのです。
一方で、所得税を払う人数が一番多いサラリーマンについては、年末調整という制度により(これも徴収する側の会社などに行わせるのですが・・)所得税の金額が確定し、確定申告をする必要はないとしているのです。
源泉徴収は、給料の他に、一定の報酬や配当金、年金などからも徴収されます。
また、銀行などの預金の利息からも徴収されています。預金の利息は実は20%の税金が引かれたあとの金額が入金されているのです。
源泉徴収は、あらかじめ税金を徴収するため、確定申告をしないで納付をしないということを防いだり、税金を支払う納税者側も、いっぺんに支払うよりは、結果的に分割して税金を支払っていることになるため、一括納税負担の軽減にもなっています。
一方で、源泉徴収の対象となっていない所得があったり、源泉徴収をする側(会社など)には大きな事務的負担となっている側面があることも見逃せません。