・印紙税
印紙税というのは、一般の消費者にとってはあまりなじみのない税金かもしれま
せんが、一番身近なものでいえば、お店で食事をしたり服を買ったりしたときにもら
う領収書に収入印紙が貼られているときがあると思います。あれが、印紙税です。
印紙税は、日々の経済取引で作られる文書に対して税金がかかります。
しかし、すべての文書に税金がかるわけではなくて、印紙税法という法律で定めら
れた文書のみに対して税金がかかります。逆に言えば、どんな重要な文書であっ
ても、印紙税法で定められた文書に該当しなければ、印紙税はかかりません。
印紙税がかかる文書には次のようなものがあります。
・不動産売買契約書・・・・土地や建物を売買するときに作成する契約書です。
・土地賃貸借契約書・・・・土地を借りるときに作成する契約書です。
なお、建物の賃貸借契約書には印紙税はかかりません。
・金銭消費貸借契約書・・・お金を借りるときに作成する契約書です。
・請負に関する契約書・・・住宅の建築や家具・機械の製作など民法に規定する請
負に関する契約書です。なお、委任に関する契約には、
原則印紙税はかかりません。
・継続的取引の契約書・・・代理店契約書や業務委託契約書など、契約期間が3か
月以上にわたって特定の相手と継続して取引を行う場合
の基本となる契約書です。
・金銭の受取書・・・・・・売上代金に係る受取書です。冒頭で述べた領収書はこれに
該当します。なお、領収書は3万円未満の金額には印紙税
がかかりません。
その他、手形や保険証券、会社の定款などにも印紙税はかかります。
印紙税は、その文書を作成した時に、作成者が納税義務を負います。
印紙税は国の税金で、原則として作成した文書に収入印紙を貼り付けて、これに
消印(印を押す)するという他の税金にはない方法で納付をします。
なお、文書を税務署に持ち込み現金で支払う方法や大量の文書のため数を税務署
に申告して納付する方法(よく「印紙税申告納付につき○○税務署承認済」という記
載がありますが、まさにそれです)などもあります。
印紙税の金額は、文書の種類や文書に記載されている契約金額により200円
から最高60万円まで定められています。
印紙税がかかるべき文書に収入印紙が貼られていない場合には、印紙税の金額
の3倍の罰金(過怠税といいます)を支払わなければなりません。
この印紙税という税金、我々専門家でも結構悩まされる税金なんです。
それは、仮に契約書という表現が文書上になくても、文書に書かれている内容に
よって印紙税がかかる文書がどうかを判断する必要があるからです。
文書の形式や名称にかかわらず、また、文書に記載されている内容の一つ一つを
見極めたうえで、印紙税がかかるかどうかを判断しなければなりません。
なかなか難しいものなんです。
ひとつ知っておくとよいことがあります。
印紙税は一定の文書にかかります。
つまり、文書を作成しなければ印紙税はかかりません。
具体的に文書とは紙、つまり書面によるものです。
従って、例えば、メールによって契約を交わしたような場合には、印紙税はかかり
ません。
また、FAXの場合も、文書そのものではなくその内容を電波によって送受信するも
のであるため、印紙税はかかりません。
印紙税法は、もともと明治32年に制定され、現在の印紙税法は昭和42年に改定
されたものであるため、電子商取引などについての定めは当然ありません。
印紙税法が改正されないかぎり、文書でなければOKなのです。