・東日本大震災に伴う税務上の取扱いについて
東日本大震災で被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。
今回の震災では、店舗や商品等の資産の被害を受けた方、復旧のために多額の修繕費などの支払いをされた・される予定の方、従業員や取引先が被害にあわれ見舞金などを支払われた方、そして何より被災地へ義援金の支払いをされた方など様々な方がいらっしゃいます。
政府は東日本大震災に係る国税・地方税の税務上の取扱いについての骨子をまとめ、その内容も国税庁などから発表されています。
以下、主なものをご紹介します。
【申告期限の延長】
・地域指定がされた地域の場合
震災により申告期限までに申告、納付ができない場合には、国税庁が定める期日まで延長することができます。
地域指定は平成23年3月15日付で、青森県・岩手県・宮城県・福島県・茨城県
に対して行われています。
・地域指定以外の地域の場合
上記の地域指定がされた地域以外の地域の方が、震災により申告期限までに申告、納付ができない場合には、税務署長に申請することにより、その理由がやんだ日から2ヶ月以内に限り、期限を延長することができます。
【災害関連費用】
・震災により滅失・損壊した資産等
震災により店舗や商品等の資産が被害を受けた場合には、その費用又は損失は損金に算入されます。
・資産の評価損
震災により棚卸資産や固定資産に著しい損傷が生じたことにより、帳簿価額を下回ることとなった場合には、帳簿価額と時価との差額を評価損として損金に算入することができます。
・復旧のための費用
震災により被害を受けた固定資産について原状回復の費用や補強工事のための費用を支出した場合には修繕費として損金に算入されます。
ここでは二次災害を防ぐための建物に対する耐震工事なども修繕費として認められます。
・災害損失特別勘定
震災から1年以内に支出が見込まれる被災した資産にかかる修繕費用(取り壊し・撤去費用、原状回復費用、損壊防止費用など)の見積額について、災害損失特別勘定への繰入額が損金に算入されます。
・従業員や取引先に対する災害見舞金等
震災により被害を受けた従業員や取引先などに見舞金等の支払いをした場合には、福利厚生費・交際等以外の費用として損金に算入されます。
相応の見舞金であれば、金額の多寡は問わないとされています。
・被災者に対する自社製品の提供費用
被災した地域や避難所などに自社製品を提供した場合、寄付金や交際費に該当しない費用として損金に算入されます。
【所得税関連】
・住宅ローン控除の継続適用
震災により住宅ローン控除の適用を受けていた住宅を居住の用に供することができなくなった場合でも、継続適用が可能となります。
・雑損控除による所得控除又は災害減免法による税額軽減
震災により生じた生活に通常必要な資産に係る損失の雑損控除について、平成22年分の所得から控除できることが可能となり、控除しきれない場合の損失の繰越期間も3年から5年に延長されます。
また、住宅や家財に係る損失(損害額が住宅や家財の価額1/2以上である場合)については、その年の所得に応じて所得税額の軽減を受けることができます。
上記の2つは有利な方を選択することができます。
・震災関連寄付金
義援金などの寄付金について寄付金控除の控除可能限度額を総所得金額の40%から80%に拡大されます。
【法人税関連】
・法人税の繰戻し還付の拡充
法人の欠損金額に震災損失金額がある場合には、2年間まで遡って、法人税の繰戻し還付が可能となります。
・固定資産の特別償却
建物や機械装置など被災した資産の代替として取得する資産については、種類や法人規模に応じて10%〜36%の特別償却が認められます。
・災害による損失金の繰越し
災害により生じた損失に係る欠損金がある場合には、その損失の発生した事業年度に青色申告による確定申告書の提出がない場合でも、その損失金はその後7年間にわたって繰り越して控除することができます。
【固定資産税】
・津波の被害を受けた土地・家屋に係る平成23年分の固定資産税が免除されます。
これは、個人所有のものだけではなく、法人所有のものも対象となります。
そのほかにも様々な取扱いが公表されています。